建築について話してみよう/西沢立衛
1, オランダ人
誰がどう見ても不自然で非合理的な回答を、何かたいへん自然で合理的なものにひっくりかえしていく気迫、つまり異常事態を論理的に必然化していくチャンスを怠らないオランダ人の姿勢。
本文の例では、オランダのハイウェイで渋滞にはまってしまった際に同乗していたオランダ人を挙げている。彼女はナビしていたこともあり、その状況に責任を感じたのか車内にて大演説をしたそうです。日本人であればとりあえず謝ってしまいそうなこの状況で、彼女は何故このような事態に至ってしまったのかということをたいへん論理的かつ明快に述べたそうです。つまりこの事態は避けようがないのだということを。確かに私もいろいろなところで欧米の人はこのような方が多いと聞いたことがある。しかし、改めてすごいなと思いました。そして、本文で著者はその考え方がそのままプレゼンテーションのブックレットにも表れていると書かれていました。
2, 建物の原則
著者が建築を考える際の原則が2つ挙げられている。
それは、「建物のつくり方」と「建物の使われ方」です。
つくり方は、言葉の説明によって理解されるのではなく、実際の建物によって示される。つまり、建物を訪れることでそのつくられ方が体験できるということ。
使われ方は、建物の使われ方の風景をたいへん鮮やかに空間として表している建物。
そして著者は、このふたつ、建物をどうつくるか(建物はどうんふうにでき上がっているのか)、ということと、建物をどう使うか(建物はどんな使われ方の原則を提示できるのか)ということの二つの原則が自身の建築をつくっていく上で重要な問題だとしている。
3, 「機能」という言葉の捉え方
「機能」というものを、使いやすいかどうかではなく、使いたくなるかどうか、もしくはその空間はつかいがいがあるかどうかという問題として理解されているようだ。
上記の内容が特に印象的だったが、本全体を通して感じたことは、SANAAのお二人は、建物と周辺環境との関係をとても重要視されているということです。過去の作品もそのような視点からからみると納得できるのではないかと思います。
さらに、21世紀美術館は学校の跡地であり、美術館周辺の木は当時の記念樹を植えているのだとか。また、その際に林のようにかためて植えるのではなく、記念樹だったことから1本1本が作品のように展示されているような配置をされていることを初めて知りました。次回訪れたときにはその辺りにも注目してみたいです。
by mhikari3
| 2009-10-09 15:59
| Book